受け継がれた明治の町家

新春の仕事始め。
頂いた年賀状の中に、印象深い写真がありました。

出格子・虫小窓の在る厨子二階の町家のファサード・・・

昨年、仲介をさせて頂いたお客様からの年賀状に、その火袋と共にご自分たちの町家の姿を。

半年ほど前、とある織家建物件に問い合わせを下さり、その後も何件かご紹介した方。
ご自分たちで30件ほどご覧になり、昨年秋にこの物件を購入して頂きました。

(こんなにも、オリジナルの姿で残っている事が珍しい。)
購入を決めて頂いた大きな理由の一つです。

売主様も物件近くで、町家を維持しながらお住まいである事。
売却依頼を受けた不動産業者さんが、この町家の希少価値を高く評価していた事。
(マンション建設用地として希望の商談をお断りしたとか。)

そして京都市の『美観・修景地区関係』条例の【界わい景観整備地区】のエリアに在り、その中でも
~景観上重要な交差点(町辻型)~
として重要界わい景観整備地域に指定されている地区にあったからでしょう。

平成13年に施行されたこの条例。
祇園だけではなく、上京小川・三条通・北野・伏見南浜,etc.
歴史ある京都の街並みを保全する目的で規制を掛ける。

この事が、明治27年(1894年)以前から存在していたこの京町家を新たな方へと引き継がれる機会を作ったのだと、今更ながら深く思い、この【界わい景観整備地区】の指定を拡大・拡充する事が失われてゆく町家を保全する抑止力になると信じています。